PCで遊んだ日々の備忘録

Making PC and Customization PC

スリムPC マザーボード換装|2回目

2017年11月に自作し、2021年10月にマザーボードを換装した スリムタワー型PC(以降 スリムPC)のマザーボードと CPU を Intel第12世代に換装しました。2回目のアップグレードになります。(2025年3月)

下の画像はマザーボード換装後の写真です。前回同様スモールサイズの micro-ATX(244mm x 211mm)を採用したのでメインテナンス性は維持できました。

 

Intel第12世代(LGA1700)の「ヒートスプレッダ歪み問題」は承知の上で採用しました。どれくらい歪んでいるのか、どこにも具体的な数値が示されていないのも理由の1つです。

数値については チャットボットに聞いてみました。それより問題なのは Noctua製のロープロファイルCPUクーラーでした。詳細は後述しています。


パーツ構成

下表が換装したパーツです。

マザーボード ASUS B365M-K → ASUS H610M-A
CPU Core i7-8700T (TDP 35W) → Core i5-12500T (TDP 35W)
メモリーモジュール DDR4, 16GB → DDR4, 32GB
CPUクーラー Thermaltake MeOrbⅡ(TDP:65W) → Noctua NH-L9i-17XX(TDP:不明)
 

下表は流用パーツです。

PCケース IN WIN IW-CE685 E BLACK (PSU付 300W)
グラボ msi GeForce® RTX 3050 LP 6G OC (70W)
m.2 SSD Western Digital® Blue SN570|NVMe 250GB
2.5" SSD SanDisk Extreme PRO® 240GB
2.5" HDD HGST Travelstar® 2.5型 1TB
ODD Panasonic Blu-rayスロットインドライブ UJ235A S-ATA

以上の構成です。

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マザーボード

ASUS® PRIME H610M-A D4 主な仕様

  • 型式・規格:H610M-A・micro-ATX
  • CPUソケットタイプ:LGA1700 第12・第13・第14世代
  • 対応CPU:Alder Lake
  • チップセット:Intel® H610
    • SATA 6Gb/s , USB3.2-Gen2
  • メモリー:デュアルチャンネル , 最大64GB
    • DDR4-DIMM , non-ECC , un-buffered
    • クロック周波数:3200MHz
    • Intel® XMPサポート
  • ストレージ ポート
    • M.2(PCIE 3.0x4)1 slot / M.2(PCIE 3.0x2)1 slot
    • SATA 6Gb/s - 4ポート
  • 拡張スロット:PCIe 4.0 / 3.0
  • システム/ 対応OS:UEFI/ Windows 10,11
  • 生産国:China
  • 発売日:2024年6月

詳細仕様はこちら >>

Explanation

このマザーボードは下表のようにフル規格の micro-ATX より横幅が約33mm狭いサイズです。

micro-ATX ver1.2 243.84 x 243.84mm (9.6" x 9.6"), 取付穴 9ヶ所
PRIME H610M-A D4 244 x 211mm (9.6" x 8.3"), 取付穴 6ヶ所

PCケースに取り付けると下の写真のようにストレージ ベイとの間にスペースができます。

狭小のスリムタワー型ケースにおいては、メンテナンス性が向上します。

BIOSのバージョンアップ

BIOSはバージョン3601 2024/10/17にアップデートしました。理由は「Vmin シフトの不安定性の問題」のため。詳細は下記のとおり。

生成AIによる概要

Vminシフト不安定性は、インテルの第13世代および第14世代のCoreプロセッサで発生した不安定性の問題です。最小動作電圧(Vmin)が上昇することで、クロックのデューティサイクルがシフトし、システムの不安定につながりました。

中略

その影響は「システムのクラッシュやハードウェアの不具合」「予期せぬ再起動やフリーズ」「プロセッサやマザーボードそのものにダメージ」を与える。

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CPU

Intel® Core i5 - 12500T Alder Lake-S 主な仕様

  • ソケット:LGA1700
  • 動作周波数:2.0GHz
  • ターボ・ブースト周波数:4.4GHz
  • コアの数 / スレッド:6 / 12
  • キャッシュ:18MB Intel Smart Cache
  • バススピード:16GT/s
  • TDP ベース / ターボ:35W / 74W
  • 最大メモリー / 種類:128GB / DDR5-4800,DDR4-3200
  • Tjunctuon(プロセッサー・ダイ許容温度): 100℃
  • S-spec:SRL5W
  • グラフィックス:Intel®UHD Graphics 770
  • 発売日:2022年1月

詳細仕様はこちら >>

Explanation

業者から購入した中古品です。マザーボードに取付てみると、情報通りヒートスプレッダ中央部が凹みました。ソケットは LOTES製です。ただゲージを当ててみると0.1mmあるかないかくらいで、目くじら立てるほどのことはないと思います。

インテルも問題ないと言っているので市場に多数出回っているような押さえ具は使っていません。特段の問題も出ていません。下の写真はヒートスプレッダ中央部に米粒よりひと回り大きいくらいのサーマルグリスを 1ヶ所塗布したものです。

CPUクーラー側の接地面は平なわけではなく、中央部が盛り上がっているため上の写真のようにサーマルグリスは中央部に乗っています。

それより問題なのは CPUクーラーです。

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CPUクーラー

Noctua NH-L9i-17xx 主な仕様

  • TDP:NSPR:中程度のターボ / オーバークロックヘッドルーム
  • ファン仕様・回転数:92x92x14mm , PWM・600~2,500rpm
  • 風量・静圧:最大0.958m3/min(33.8CFM)・2.11mmH2O
  • 騒音:最大23.6dBA
  • コネクタ:4pin
  • ヒートシンク:アルミ(フィン) / 銅(ベース、ヒートパイプ2本)
  • 全体寸法・重量:95x95x高さ37mm・0.43kg
  • 適応ソケット1:Intel LGA1700
  • 生産国:Taiwan
  • 発売日:2021年11月
  • 詳細仕様はこちら >>

    Explanation

    このクーラー、文句なしの性能です...がー、取付方法に致命的と言っても過言ではない問題があります。左下の写真はクーラーの取説です。そこに締め付けトルクの記載があります。右下の写真はトルクドライバです。

    そしてトルク値は「max 0.6Nm」と記載しているので、この値をセットして締め込んで行くと付属ビスの段差に当たるまでにマザーボード基板がクーラーの方向へ引っ張られてどんどん曲がっていきます。尋常じゃないほど曲がります。

    あまりの事に写真撮るのも忘れて慌ててビスを緩めた次第。おまけにヒートシンク接地面にヒートスプレッダ四隅の圧痕が付く始末で。

    クーラーを固定する金具とマザーボード上面の間のスキマが 2mmくらいの所(下の写真)から変形し始めます。本来ここにはカラー(スペーサ)をいれるべきです。でないと所定のトルクが掛けられません。

    どうやらこのクーラーはマザーボードの曲げ反力で引っ張っているだけで固定できない代物です。基板が弾性変形している間はまだよいが、時間経過とともに塑性変形し始めたらクーラーはグラグラになるのは間違いない。こんなの売っちゃダメでしょ。

    この点、どこのレビュアーも指摘していない。商用サイトはともかく、個人サイトで気が付かないはずはないと思うのだが。疑問に思わないのだろうか。このマザーボードにだけ起こる現象なのだろうか。

    もう一つ、トルク値に Max などと曖昧な表現をしてはいけない。なぜ「既定トルク」というものがあるのか、その仕組みも全く理解していないのが見て取れる。素人仕事ですな。

    対策

    そういう訳で、対策を紹介します。

    基板とクーラー金具のスキマを下の写真の金属カラーとグラスワッシャ(基板の保護)で埋めました。

    金属カラーは法人向けECサイトのミスミから、グラスワッシャはアイネックスから購入しました。

    • 金属カラー :厚み18.5mm±0.1、外径φ8、内径φ4、S45C(無電解ニッケルメッキ)
    • グラスワッシャ :厚み 0.5mm、外径φ8、内径φ3.5

    グラスワッシャは丸ヤスリで内径を広げました。そして下の画像が取り付け後の写真です。

    これでしっかりトルクが掛けられます。最終的に 0.5Nm(50cNm)で締め付けました。ちなみにトルクドライバ、ビット共に Made in Japan です。トルクドライバは 1万円以上の物が幸せになれますよ。

    ヒートシンク構造とヒートパイプの向き

    ヒートシンクの構造は GrabCAD のサイトに 3Dモデルがアーカイブされています。Load in 3D viewer をクリックすれば、断面切ったり回転したりできるので分かりやすいです。(ライセンスの関係でスクショが貼れない)

    ヒートパイプの向きに関するポイントを生成AIに聞いてみた。

    答え

    • タワー型デスクトップPCでは、ヒートパイプの膨らみ(アール)が上向きになる状態は冷却能力が落ちるとされています
    • 焼結金属ヒートパイプでは、角度依存性が小さいため、トップヒートモードでも使用可能です
    • 小型CPUクーラーの場合、大型のCPUクーラーに比べて冷却能力に余裕がないため、高負荷時における搭載向きによる性能差は出にくい可能性があります

    という訳でヒートパイプのU字側を下向きに取り付けました。

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メモリーモジュール

CFD Selection メモリ Qシリーズ crucial® 主な仕様

  • CFD型番:W4U3200CM-16GQ
  • crucial型番:CT16G4DFRA32A
  • 容量:16.0GBx2枚
  • 規格:DDR4 SDRAM
  • インターフェイス:UDIMM 288-pin
  • モジュール規格:PC4-25600(DDR4-3200)
  • XMP非対応
  • 搭載チップ:Micron
  • 生産国:Malaysia
  • 発売日:2021年1月

Explanation

crucialの型番を見ると 2枚キットではないようです。

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雑感

旧CPUクーラーとの比較

以前の CPUクーラー には下の写真のようにバックプレートとスペーサが付いているので取付はただネジを締め込むだけです。

構造が違うと言われればそれまでだが、スペーサが必要なことは間違いない。出来ればバックプレートもね。

上の写真が今まで使っていた Thermaltake MeOrbⅡ のパーツ一式。スペーサもバックプレートも入っています。よく出来ていると思います。

マザーボード基板上面から CPUヒートスプレッダ上面までの高さは igor'sLAB にあるように、

Intelの規格で Soket V0(LGA1700)は 7mm±0.5 と分かっているのでマザーボードベンダーによる差異は、ないはずである。

CPU歪みの値をチャットボットに聞いてみた

質問:>LGA1700ヒートスプレッダ固定時の歪は10mmあたり何μm?

答え:LGA1700ヒートスプレッダの固定時に生じる歪みは、10mmあたり約50μm程度である可能性があります。ただし、これはあくまで推定値ですので、実際の測定値は製品の設計や取り付け方法によって異なることを理解してください。

50μm = 0.05mm

Windowsライセンスの再認証

Windowsの移設は、M.2 SSDをそのまま使用。ライセンスの再認証はマイクロソフトアカウントに登録済なので一瞬で完了。面倒だったのは EXCELのライセンス再認証でした。

買い切りのライセンスなので 前回同様 電話で再認証の手続き完了しました。

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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