Ubuntu 18.04 LTS で Inkscape が起動しない時の対処法
我が家の スリムPC(自作機) に導入している Ubuntu 18.04 LTS Xfceに Inkscape 0.92.3 をインストールしたところ起動しませんでした。
少し調べてみたところ解決したので以下に紹介します。(2020年3月)
現象と原因
Inkscapeをインストールして起動するため端末エミュレータで次のコマンドを実行しました。
xfce4-terminal
$ sudo apt install inkscape
$ inkscape
しかし起動することなく次のようなエラーメッセージが表示されました。
inkscape: error while loading shared libraries: libwpg-0.3.so.3: cannot open shared object file: No such file or directory
訳すと
“ 共有ライブラリ libwpg-0.3.so.3 のロード中にエラーが発生しました。共有オブジェクトファイルを開けません。そのようなファイル、又はディレクトリはありません。”
ですが、このライブラリを含むアプリケーションパッケージである libwpg-0.3-3 を dpkgで grepしてみると
$ dpkg -l |grep libwpg-0.3-3 ii libwpg-0.3-3:amd64 0.3.1-3 amd64 WordPerfect graphics import/convert library (shared library) $ _
このようにインストールされています。
ところが Inkscapeが依存する共有ライブラリを検索すると
$ ldd $(which inkscape) | grep "not found" libwpg-0.3.so.3 => not found $ _
「ない」と返ってきました。
原因は 18.04 LTS において、パッケージが正常にインストールされてもそこに含まれるべきいくつかのライブラリが欠落するバグでした。
以上の内容とその対処法は、次のリンク先で共通していました。
- Ask Ubuntu
- bugs.launchpad.net
- Lacyc3.eu (こちらはハンガリー語のサイトです)
ロゴ画像のライセンスは こちら へどうぞ
なお、欠落するライブラリは環境により異なるようです。
対処法
当方の環境では Inkscapeが依存する共有ライブラリを含んだパッケージを再インストールすることで解決しました。
先ずは端末から
$ sudo apt-get install --reinstall libwpg-0.3-3
を実行の後 Inkscapeが依存する共有ライブラリを検索すると、今度は別の共有ライブラリが「ない」と返ってきました。
$ ldd $(which inkscape) | grep "not found" libwpd-0.10.so.10 => not found $ _
そこで libwpd-0.10.so.10 を含むパッケージである libwpd-0.10 を再インストールします。
$ sudo apt-get install --reinstall libwpd-0.10
を実行の後、もう一度共有ライブラリを検索すると
$ ldd $(which inkscape) | grep "not found" $ _
今度は欠落したライブラリが検出されませんでした。ここでもし検出された場合はそのライブラリを含むパッケージをインターネット上で調べて再インストールします。
と、このようにライブラリの欠落が検出されなくなるまで繰り返します。これらは本来 Inkscapeのインストール時に入っているべきものです。
今回は 2回で Inkscapeを起動することができましたが環境によっては依存地獄にハマるかもしれませんね。例えば、先述のリンク先にあるように 18.04 LTSのクリーンインストールではなく 16.04 LTSから継続アップグレードした場合など。
雑感
今回 Inkscape をインストールした目的は、ログデータを記述した EXCEL CSVファイルのグラフを Libreoffice Calcで編集後 EPSまたは SVGファイルで保存したり、ラスター画像にエクスポートするためでした。
開けてよかった。
実は Windows10に実装されている Microsoft Print to PDF で出力すれば Windows版 Inkscapeにインポートできるので同じことはできます。
余談ですが、
そのログとは NVIDIAの Geforce GTX 1060 と GT 1030 を実装している PC に負荷(YouTube 4K 60fps, 8K 60fps動画の再生)をかけて ELSAジャパンの GPU管理アプリ で取得したものです。
もちろん Windows10上での話です。ちなみに Ubuntuでは GPU動画再生支援は機能しないので UHD動画再生中は 100%の負荷が CPUにかかり続けることになります。
Ubuntuやその他の Linuxディストリビューションですと、長時間にわたってマトモに再生できるのは フルHD動画(1080p / 60fps)くらいが限界でしょうか。とは言え 4Kモニターでなければ人の目では判別できないですけどね。