OptiPlex で YouTube の 4K/60fps 動画を観る
手持ちの DELL OptiPlex 755 SFカスタマイズ の続きです。YouTubeの 4K/60fps 動画を視聴するため既存のグラフィックスボード(以降 グラボ と表記)を新しいものに換装しました。
この OptiPlex(2007年8月発売)は 2014年5月に中古品を購入してカスタマイズした スリムタワー型PCです。
下の画像は今回換装したグラボ(GT 1030)と既存(GT 610)のグラボの写真です。いずれのボードも msi®製 Geforce® のロープロファイルモデルです。
このような古い PCではありますが GPUコアに NVIDIAの Pascalファミリー チップ GP108を搭載したグラボを実装することで 4K動画再生が実現しました。(2020年3月)
PC 仕様
- 販売名:Optiplex 755™ Small Factor
- CPU:Intel® Core™ 2 Quad Q9550S
- メモリ:DDR2 Dual Channel 8GB
- バスインターフェイス:PCI Express 1.0a x16(ロープロファイル), 供給電力 25W
- 電源定格出力:275W
ネットワーク環境
- 契約速度:室内終端装置まで FTTH 100 Mbps
- ルーター以降(ローカルネットワーク):1 Gbps
グラフィックスボード
msi® Geforce® GT1030 2G LP OC 主な仕様
- 製造:MicroStar International
- 搭載チップ:NVIDIA GeForce GT 1030(GP 108-300)
- メモリー規格・容量:GDDR5 SDRAM・2GB
- メモリバス幅:64 bit
- バスインターフェイス:PCI Express 3.0 x16
- 推奨電力:300W
- 消費電力:30W
- 対応OS:Windows7~10, Linux
- 冷却方法:ヒートシンク + ファン1基(直径 40mm, 仕様不明)
- 外形寸法:長159×幅69×厚19mm(1スロット ロープロファイル)
- メディア接続:HDMI x1, DisplayPort x1
- 付属品:ロープロファイルブラケットx1 , 取付ガイド
下の画像はグラフィックスボードに HDMI(オス)- DVI-D(メス)アダプタを取り付けた写真と GPU-Zのスクリーンショットです。
HDMI(19pin) Male - DVI-D(25pin) Female アダプタは下の写真のように StarTech.com製です。
アダプタを使用する理由は、モニターが DVI端子の PC切替器 を介して、4台の PCで共有しているので HDMI接続ができないためです。
なお、このメーカーにしたのは Amazonの海外トップレビューに「HDCP works fine」つまり「正常に動作する」の情報があったためです。
YouTube 4K/60fps 動画再生
YouTubeの 4K/60fps 動画を再生してみると、動きの速いところやカットの切り替わりでほんの一瞬引っかかった感じで再生されます。やはり供給電力不足なのでしょうか、それ以外はスムーズでした。
YouTubeの 4K動画は VP9コーデックで圧縮され .webm形式のコンテナで配信されているのでグラフィックスボードが VP9をサポートしていないとまともに再生できません。
2021年8月追記|4K、8K動画は、AV1コーデックに置き換わりました。Geforce RTX30シリーズ以降のサポートです。CPUは Intel Core i 第11世代(UHD Graphics 750)以降のサポートです。
このボードは nVIDIA.DESIGN WORKS によれば、下表のように VP9/ 8bit, 10bit, 12bitがサポートされています。今回の GT 1030のチップは GP108です。
VP9 (GP108) | 8bit - yes , 10bit - yes , 12bit - yes |
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表中の 8bitは動画のビット(色)深度で、1ピクセル当たり 8bitのデータ量を示しています。詳細は こちらのサイト を参照ください。
下の画像は Firefoxで YouTubeの特定のタイトルを再生した時の負荷をモニタリングしたタスクマネージャーと GPU-Z のスクリーンショットです。8K/60fpsの動画も再生してみましたが、こちらは全くダメでした。
それもそのはず、8K/60fps動画は VP9ではなく AV1コーデックなので NVDECビデオデコードが、つまり動画再生支援が効かないためです。
因みに AV1は GeForce RTX™30シリーズ(Ampereファミリー、GA102~GA107チップ)以降でサポートされます。
ビデオ デコードまたは 3D の GPU 負荷率 (%) | 4K: 54 , 8K: 94 ~ 98 |
---|---|
イーサネット 速度 (Mbps) | 4K: 75 以下 , 8K: - |
CPU 負荷率 (%) | 4K: 40 前後 , 8K: 60 前後 |
GPU クロック (MHz) | 4K: 1252.5 , 8K: 1797.0 |
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メモリ クロック (MHz) | 4K: 1502.0 , 8K: 1502.0 |
GPU 温度 (℃) | 4K: 42.0 , 8K: 46.0 |
メモリ 使用量 (MB) | 4K: 578 , 8K: 571 |
GPU 負荷率 (%) | 4K: 26 , 8K: 100 |
ビデオ エンジン 負荷率 (%) | 4K: 40 , 8K: 0 |
Perf Cap | 4K: Ifle , 8K: VRel |
当然タイトルごとに数値は変わります。
CPUの状態
下表はアイドル時と 4K/60fps 動画再生中の CPUの状態です。
アイドル時 | 1,995 MHz / 40.0 ℃ |
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4K/60fps 動画再生中 | 2,826 MHz / 50.0 ℃ ~ 52.0 ℃ |
CPUの Tcase(ケース許容温度)は 76.3 ℃なのでこちらは問題ありません。
雑感
4K/60fps動画が再生できるのではと期待したのですが無理だったようです。ただ 1440p/60fps ですと激しい動きであっても問題なく再生できました。
現実的に考えてみると、4Kモニターでなければ人の目には両者の判別はつかないわけですからグラボを換装する価値は十分にあると思います。
ちなみに当方で再生確認できた 環境 は Core i7 8700, GTX1060 および Xeon x5365, GTX1060 でした。こちらは 8K/60fpsがギリギリ視聴に耐えうる感じで再生できました。
参考までに Ubuntu 18.04 LTS では ビデオデコードが効かないのでマトモに再生できるのは 上記 CPU+グラボの環境で 1080p/60fps まででした。
補足2種類の GPUコア
Geforce GT 1030 には下表のような 2種類の GPUコア が存在します。
コア GP108 - 300 | 2GB GDDR 5 | 1227 / 1500 MHz |
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コア GP108 - 310 | 2GB GDDR 4 | 1151 / 1050 MHz |
その違いについての情報はネット上を検索するとすぐに出てくるのでそちらを参考にしてください。
Linux環境で再生するには|2021年3月 追記
Linux環境で YouTubeの 4K/60fps動画 を再生するには、グラボを取り外して CPU統合グラフィックス を使用します。例えば、下表は当方で再生確認した環境です。
CPU | Intel ® Core™ i7 3770S(Ivy Bridge) |
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Processor Graphics | Intel ® HD Graphics 4000 |
OS | Ubuntu 20.04 LTS, Lubuntu 20.04 LTS, Debian 9 LTS(Xfce) |
これでスムーズに再生できました。