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HP EliteBook 2560p の壊れたスーパーマルチDVDドライブを交換する

こちらの ページ に掲載している HP製ノートPC EliteBook 2560pのスーパーマルチDVDドライブが突然壊れてしまいました。(2017/07)

このノートPCは 2011年製の中古品を購入したもので、購入当初からトレイの動きがシブく常に何かを引きずっているかのようでした。

時々イジェクトボタンを押しても、あるいは OS上から「取出す」をクリックしても ”カチン” と作動音はするもののトレイは出てこないので爪先でトレイを引っぱり出すという状況でした。

ある日 DVDメディアを挿入しようとした時のこと、何時にも増してトレイが重いなと思いつつ強めに押しこんだら OS上からはもちろん BIOSからも認識されなくなり、遂に壊れてしまった。

壊れたものは仕方がないので原因を探ろうとノートPC本体から取り外し、分解してみたら開けてビックリの状態で、壊れた原因は素人目にも一目瞭然でした。

このページでは中古のスーパーマルチDVDドライブが壊れた原因とその型番、そして交換するべき型番を掲載しています。

ネットショップやネットオークションで購入する際の参考になれば幸いです。

下の画像は今回の原因調査と交換に使用したノートPCとスーパーマルチDVDドライブの写真です。

これより以降スーパーマルチDVDドライブを「スーパーマルチドライブ」または「ドライブ」と表記します


スーパーマルチドライブが壊れた原因

壊れた原因を探るためノートPCからドライブを取り外して分解しました。

そして

  • 壊れたものと同型のドライブ(新品)
  • EliteBook 2560p対応の別モデルのドライブ(新品)

を購入し同様に分解して比較しました。

壊れたスーパーマルチドライブ|GU60N

GU60N(下の写真のもの)の主な情報

  • 名称|Super Muliti DVD Rewriter
  • 型番|GU60N
  • FCC ID|KCC-REM-LGE-DMGU60N
  • HP スペア番号|651384-001
  • 厚み|9.5mm
  • 製造年|2012 . 02
  • 製造 / 生産国|LG電子 / China
原因の推察

早速分解してみたところ、ドライブ本体とトレイを接続しているフラットケーブルの幅方向に多数の折れ線が入っていました。(fig1)

次にドライブ本体をひっくり返してトレイの裏側を見ると、フラットケーブルはさらにヒドい状態で折れ線どころか蛇腹のようにクシャクシャになっていました。(fig2)

そしてこの状態でトレイを閉じる方向にスライドして行くと、ドライブ本体とトレイの間にフラットケーブルを噛み込んでしまいます。(fig3)この現象はトレイの裏側で起こっているのでユーザーは知る由もありません。

なのでこのまま知らずにトレイを押して行くと今度はフラットケーブルを底板とトレイの間に挟み込んでしまいます。これがトレイの動きが急にシブくなったり重くなるポイントです。

トレイ側フラットケーブルの画像

fig1. トレイ側のフラットケーブル

フラットケーブルがクシャクシャに折れ曲がっている画像

fig2. 折れ曲がっている

トレイ裏側フラットケーブルが挟まっている画像

fig3. トレイをスライドして行くと...

写真 fig3の状態でトレイを強引に閉めることになるわけですからフラットケーブルにはかなりのストレスが掛かっている筈です。これをメディアの出し入れの度に 2回繰り返すわけですから結果どうなるか想像できますよね。

そうですスーパーマルチドライブが壊れた原因はフラットケーブルに繰り返し負荷が掛かったことによる「断線」であろうと。

なぜフラットケーブルに折れ線が入ったのか

ここで疑問に思うのがなぜフラットケーブルに折れ線が入ったのかと言うことです。当初は経年劣化のため何かの拍子に折り目が入りトレイ開閉の繰り返しによって折れ線が増えていったのだろうと思っていました。

ところがこの想定は間違っていました。それは交換用に購入した新品の GU60N(fig4)を分解したことで明らかになりました。

なんとトレイ表側のフラットケーブルにも(fig5)トレイ裏側のフラットケーブルにも(fig6)既に製品出荷の時点で折り目のようなシワ入っているのです。

新品のGU60Nの画像

fig4. GU60N 新品

トレイ表側フラットケーブルの画像

fig5. トレイ表側

トレイ裏側フラットケーブルの画像

fig6. トレイ裏側

写真では分かりづらいですが現物を見るとクッキリと入っているのが分かります。製造工程で不可抗力で入ったのか、意図的に入れられたものなのかは断定出来ませんが管理人には後者のような印象を受けました。

これはあくまで個人的な見解ですがおそらくトレイ開閉の際になんらかの不具合があってその調整のために取られた措置ではないかと。

いずれにせよフラットケーブル断線の原因はユーザー側の問題ではなくスーパーマルチドライブの構造に致命的な問題があったということです。

比較したスーパーマルチドライブ|GU90N

GU90N(下の写真のもの)の主な情報

  • 名称|Super Muliti DVD Rewriter
  • 型番|GU90N
  • FCC ID|KCC-REM-HLD-GU90N
  • HP スペア番号|-
  • 厚み|9.5mm
  • 製造年|2016 . 01
  • 製造 / 生産国|日立LGデータストレージ韓国 / Malaysia

下の画像は GU90Nを分解したトレイ側の写真です。

御覧のようにフラットケーブル(赤丸部)には一切「折れ線」のようなシワが入っていないのが分かります。

従ってトレイを閉じても GU60Nのようにフラットケーブルをトレイと底板の間に噛み込むことはありません。

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スーパーマルチドライブが壊れる前に

購入した新品の GU60Nをそのまま取付けるとケーブル断線の二の舞になるので応急処置を講じます。フラットケーブルとトレイを両面テープで貼り付けるという簡単な方法です。

写真(fig7)では大きく見えますが実際に貼り付ける両面テープのサイズは 3mm x 6mmと小さく、さらにケーブルとトレイの間に貼るわけですからこの作業には少々骨が折れます。

これをやっておくだけでケーブルの噛み込みは解消されます。とは言っても一時的にであって根本的に解決する事は不可能です。遅からずトレイ開閉の繰り返しや熱によって両面テープは剥がれてしまうでしょう。

そしてそのまま使い続けると写真(fig7)のようにフラットケーブルはクシャクシャになって断線してしまうかもしれません。

応急処置を施したGU60Nのフラットケーブルの画像

fig7. GU60N の応急処置

改善されたGU90Nのフラットケーブルの画像

fig8. GU90N 改善済

トレイの開閉が重くなったら迷わず GU90Nに交換してしまいましょう。GU90Nはフラットケーブル、トレイ共に改善策が施されています(fig8)

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スーパーマルチドライブを交換する

壊れたドライブをノートPCから取り外して新しく購入したドライブを取り付けます。以下はその手順です。作業の前に ACアダプタとバッテリーパックを取り外しておきます。

  1. ドライブ本体を固定しているネジ(1ヶ所)を緩める
  2. ドライブ本体を右方向にスライドして取り外す。ドライブ本体は SATAコネクタで接続されているので力が必要
  3. 壊れたドライブからブラケットとベゼルを取り外して新しいドライブに取り付ける
  4. 取り外したときと逆の手順でノートPC取り付ける。SATAコネクタがしっかり接続されていることを確認する
  5. 固定ネジを閉める

この作業で注意するところはベゼルの取り外しです。ベゼルは数ヶ所のツメをトレイに嵌め込む構造になっているので力を入れ過ぎると破損するおそれがあります。

破損してしまうとベゼル単体での入手は困難です。取り外し方は「ベゼル 取り外し」で検索するとたくさん出てくるのでそちらを参考にしてください。

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雑感

実は、このノートPCを販売していたネットショップの説明書きの中に「光学ドライブのトレイの動きがシブイです」とあったのですがそれを承知の上で購入しました。まさか壊れてしまうとは。

そして交換するために購入した新品の GU60Nにも致命的な構造的不具合があったとは。

そしてそしてネットオークションで落札した新品のはずの GU90Nがジャンク品だったとは。いやはや今回のトリプルパンチはかなり効きました。

いや、本当はそれほどでもないです。トラブル大歓迎です。

スーパーマルチドライブ GU90N 購入の顛末

以下は GU90Nを購入した時のドキュメントです。

  • ネットオークションで新品と表示されている GU90Nを落札した
  • 数日後商品が届いたがトレイ側左下の金属ケース角部が硬い床に落としたかのようにひしゃげていた。この時点で新品ではなくジャンク品
  • 結果トレイは全ストロークの 1/3程度までしか出てこない。即ち使用不能
  • ドライブ自体は新品然としている。おそらく新品
  • ドライブを分解してひしゃげた部分をラジオペンチで修復後、ノートPCに取り付け正常に動作することを確認した(Windows7 , Windows10 , Ubuntu)
  • とは言え金属ケースがひしゃげるほどの衝撃が加わっており今後の動作保障なし
  • 商品の発送元は「海外発送」とだけ表示。商品が届くまで発送元は分からない

送り状を見ると発送元は 中国 広東省 深圳市 羅湖区 となっていました。

下の画像はひしゃげていた金属ケース角部を修復した後の写真です。

赤丸の部分の金属ケースが内側(トレイ側)に折れ曲がっており、トレイをスライドするとこれに引っかかって写真の位置までしか出て来ません。

これをラジオペンチでもって曲げ戻したわけですが、写真のように多少変形は残っているもののドライブを使う上では支障はありません。もちろんノートPCへの取り付けもOKです。

スーパーマルチドライブを購入する際に注意すること

EliteBook 2560p 用のスーパーマルチドライブの購入を考えた時、注意すべきは

  • GU60N を購入してはいけない
  • GU60N 以外の例えば GU90N を購入する
  • ネットオークション、ネット通販の「海外発送」はリスクを覚悟すること

といったところでしょうか。また 1つ賢くなりましたね。

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